私がこの業界に入った頃 グランシェフの恐ろしさといったら とんでもないものでした
厨房内に限らず ホテル内の廊下を歩くと ホール フロント サーヴィススタッフが
壁に身を寄せて 道を空ける程でした
そんなグランシェフでさえ 身を呈してお仕えする師匠・・・・通称おやっさん・・・
この方はカフェテリア(従業員の食事所)で指導をしていました
知らない人にはただの おじいちゃんですがこの界隈のホテルの総料理長達の先達であります
カフェテリアの仕事を終えるとキッチン内に入ってこられます(鬼のグランシェフが自家用車で送り迎えをするのです)
キッチン内に響き渡る「おつかれさまでした」全てのスタッフが一斉に会釈をしながら 迎えるのです
デスクにつくと サーヴィススタッフが 日本酒の燗を持ってきて 「どうぞ飲んでください」
デミシェフが「だれか・・つまみお作りしろ」 料理出しの時間帯で先輩方は 余裕がありません
「おう・・ナカジマ作れ」 私は一番下っ端のペイペイペい・・・・心臓ばくばく・・・・
普段なら話をすることも出来ないお人です
なんとかつくって持っていくと
「これはねえ・・・もう少しヴィネガー効かして・・・こっちはアクセントを強くした方がいいよ」
これ位のレベルになると穏やかで優しく接してくれます
いつもは先輩方が作るので 次のチャンスを狙って本業そっちのけで つまみ研究します
そして そのチャンスが来た時にはハイテンション 何度か出しているうちに 名前を覚えて頂ける様になりました
そして 直接お言葉を頂き アドバイスもして頂けます
いつか あの帽子(フレンチグランシェフが被る)を被れるようになりたい その思いだけでやってきたように思います
今はもう 被ることも無くなったあの高い帽子(肩凝るし 動きにくい) けど あの頃の想いは今も変わっていません
この先も変わらないと思っています
それでは・・・・また次回・・・・