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キャンドルとろうそくの違いは? 和ろうそく・西洋ろうそくとは?
キャンドルとろうそくの違いは? 和ろうそく・西洋ろうそくとは?
「キャンドル」と「ろうそく(ローソク)」は違うものなのでしょうか?
日本での呼び分けについて、長くキャンドルの製造販売をしているペガサスキャンドル社員の見解をお伝えします。
最初に結論 ろうそく = 「和ろうそく」 + 「西洋ろうそく=キャンドル」
「キャンドル」と「ろうそく(ローソク)」は英語由来か中国語由来かの違いで、たいていは同じものを指しています。
ただし厳密には、範囲が異なります。
日本人が「ろうそく」と呼んでいるものには、「和ろうそく」と「西洋ろうそく(洋ろうそく)」があります。
「和ろうそく」は、キャンドルとは呼ばれません。
つまり、ろうそく = 「和ろうそく」 + 「西洋ろうそく=キャンドル」 と言えるでしょう。
もう少し「キャンドル」と「ろうそく」について、深堀りしてみましょう。
和ろうそくと西洋ろうそくについて
日本で見かけるろうそくには、「和ろうそく」と呼ばれるもの、「西洋ろうそく(洋ろうそく)」と呼ばれるものがあります。
わたしたちが慣れ親しんでいるのは、「西洋ろうそく(洋ろうそく)」と呼ばれるものでしょう。
和ろうそくのはじまり
日本にキャンドルが伝わったのは、奈良時代。それは、ミツバチの巣から蝋を採取して作る「蜜ろうそく」でした。
平安時代には、遣唐使の廃止により蜜ろうそくの輸入が途絶え、松脂を使ってろうそくが作られました。
和ろうそくと呼ばれる日本独自のろうそくのはじまりは、室町時代です。
主な蝋の原料は、ハゼの木や木蝋(もくろう)や、漆の実からとれる漆蝋や、米ぬかから抽出した糠蝋(ぬかろう)。芯には和紙やイグサが使われています。
和ろうそくは芯が太く芯が空洞になっていて、いわゆる「西洋ろうそく」とは芯の形状が異なります。
風がなくても炎が揺らぐことがあり、灯しているとどんどん火が大きくなるので、芯を切りながら使います。
このような「和ろうそく」は、「キャンドル」とは呼ばれません。
西洋ろうそくの普及
明治時代に、いわゆる「西洋ろうそく」が日本にも入ってきました。
蝋として主立って使われている原料は、パラフィンワックス。芯には主に依った木綿糸が使われます。
和ろうそくに比べて安く大量に生産できるため、幅広く普及しました。
和ろうそくと西洋ろうそくの違い
「和ろうそく」と「西洋ろうそく(洋ろうそく)」は、蝋と芯の素材が異なります。
蝋 | 芯 | |
---|---|---|
和ろうそく | 櫨(はぜ)の実や木蝋 | い草の髄 |
西洋ろうそく | パラフィンワックス・パームワックスなど | 木綿糸など |
見た目が和風でも、パラフィンワックスと糸でできた芯を使っているものは、「西洋ろうそく(洋ろうそく)」に分類されます。
たとえば当社の「あかりの花めぐり」も「西洋ろうそく(洋ろうそく)」です。」
辞書的な定義
辞書でも調べてみましした。
広辞苑で「キャンドル」を引くと、その説明は「蝋燭(ろうそく)」とだけ出てきます。
つまり「キャンドルはろうそくである」といえるでしょう。
そして「蝋燭(ろうそく)」を引くと、「撚糸(よりいと)・紙縒(こより)を芯としてそのまわりに蝋またはパラフィンをつけ固めて円柱状につくり、灯火用とするもの。らっそく。」と出てきます。
(岩波書店『広辞苑第六版』より)
広辞苑では、「円柱状」と説明されていますが、日常では円柱状でないものもろうそくと呼ばれています。
次にロングマン英英辞典で「candle」と引くと「a stick of wax with a string through the middle, which you burn to give light」と説明されています。訳すと「真ん中に紐が通った蝋の棒で、燃やして光を与えるもの」でしょうか。
ちなみに、英語の「candle」は、「光り輝く」を意味するラテン語「candela」に由来します。
光の強さを表す単位にもなっていて、一般的なろうそく1本の明るさを1cd(カンデラ)と表します。
使う人によって呼びかたが変わることがある
例えばペガサスキャンドルの定番カップキャンドルは、同じ商品でも市場によって呼びかたを変えています。
原料も生産方法も形も全く同じキャンドルを、欧米からの影響の強いブライダル市場では「カップキャンドル」と呼び、日本文化の影響が強い葬祭市場では「カップローソク」と呼んでいるのです。
1つの商品が、「キャンドル」でもあり「ろうそく」でもあるのです。
これってほんと? 「キャンドル」と「ろうそく」は違う説
「キャンドル」と「ろうそく」を違うものとして解説しているWebサイトもあります。
しかし、長年ろうそく業界にいる身から見て、違和感のある説が多いように感じます。
いくつかの説を取り上げてみましょう。
「ろうそく=木蝋などの植物素材で、芯はい草と和紙でできている」??
「和ろうそく」のことのみを指していると思われます。
パラフィンワックスと木綿芯を使ったものも、「ろうそく」と呼ばれています。
「ろうそくは天然素材で、キャンドルは石油由来」??
素材が天然素材かどうかで呼びわけられてはいません。
ハチの巣からとれる蜜蠟や、大豆ワックスや、ヤシの葉からとれるパームワックスを使ったものも、「キャンドル」と呼ばれます。
そして広辞苑にもあるとおり、パラフィンワックスを使ったものも「ろうそく」と呼びます。
「ろうそくは職人が手作り、キャンドルは大量生産」??
生産規模で呼び分けられてはいません。
キャンドルは、大量生産する工場もありますし、手作りする職人・アーティストも世界中にいます。
「和ろうそく」は、基本的に職人が1本1本手作りしています。
まとめ
「ろうそく」には、「西洋ろうそく(洋ろうそく)」と「和ろうそく」があります。
このうち「西洋ろうそく(洋ろうそく)」は、キャンドルとも呼ばれています。
ペガサスキャンドルが製造しているのは、「西洋ろうそく」と呼ばれるもの。
パームワックスで作られるキャンドルもあれば、機械生産のキャンドルも、1本ずつ手作りしているキャンドルもあります。
円柱形・星形・ハート形・和菓子の落雁を模した形など、見た目もさまざま。
キャンドルもろうそくも、蝋と芯というシンプルな構成で古来より親しまれ、今も世界中の人々に愛されているのです。